届いた物置の箱を開けて、床一面に並ぶ部材を前に手が止まる。
「これ、本当に自分で組めるかな」。
説明書のページ数と、ビスの入った袋の多さを見て、そう思う方は多いです。
先にお伝えします。
組み立ては、決して楽な作業ではありません。
上枠や屋根のパネルは、頭の高さまで持ち上げる場面があります。大型のものになると脚立も要ります。
ただ、多くの方がつまずくのは、そこではありません。もう一段手前です。
地面をならして、ブロックを置くところです。
ここが決まっていないと、組み立てをどれだけ丁寧にやっても不具合が出ます。
この記事では、「自分にできるかどうか」をご自身で判断できるように、現場でやってきた立場から事実だけを並べます。
やった方がいい・やめた方がいい、はこちらでは決めません。判断の材料をお渡しします。
扉が閉まらない、鍵がかからない。原因はブロックにあります
自分で組んだ物置で起きやすいのが、こんな不具合です。
- 扉がズレて閉まらない
- 鍵がかからない
- 使っているうちにガタつく
これを「組み立てが下手だったから」と思ってしまう方が多いです。
でも、原因はたいてい別のところにあります。
ブロックの水平が取れているかどうか。ここでほぼ決まります。
理由はシンプルです。
現行の機種は、本体を組み立てる途中で微調整をする機会がほぼありません。
昔のように「組みながら扉の建て付けを合わせていく」余地が少ないんです。
だから、土台のブロックが傾いていれば、その傾きがそのまま扉に出ます。
ブロックの置き方次第で、扉の調整幅が変わってきます。
扉で苦労するかどうかは、扉に触れる前の「ブロックを水平に置けたか」で、もう決まっているということです。
組み立て手順を丁寧になぞることより、その前の水平出しに時間をかける。ここが分かれ目になります。
組み立ての前に、整地とブロック設置がある
そして見落とされがちなのが、その前の整地とブロック設置です。
本体の組み立ても、部材が多く時間はかかります。ただ、順番どおりに進めれば形にはなります。
一方で、地面をならして水平にブロックを据える作業は、地味なわりに時間を食い、しかもやり直しが効きにくい。ここが仕上がりを左右します。
気持ちは「早く本体を組みたい」と前に行きがちです。
でも、時間をかけておくべきなのは、この手前の工程です。
説明書どおりに組むと、かえって面倒になることがある
大型の物置では、説明書の手順どおりに先へ進めると、途中でやりにくくなる場面があります。
床材を先に張ってしまう場合です。
床が張られた状態で組み立てを続けることになるので、上がるたびに靴を脱ぎ履きするか、土足のまま床に上がるかを選ぶことになります。
ここは順番を変えられます。
床枠を組んだ時点で直角さえ確認できていれば、床材を先に張る必要はありません。
説明書は「間違いが起きにくい順番」で書かれていますが、「やりやすい順番」とは限りません。
何人でやる? 「2人必須」とは限りません
ネットでは「物置は2人でやるもの」「1人だと風で壁板があおられて危ない」とよく書かれています。
これは半分正しくて、半分は事情が違います。
実際は、慣れると1人で組み立てできますが、慣れていない方は2人で、というのが近いところです。
理由は風だけではありません。
重い部材を持ち上げたまま、位置を合わせなければならないからです。
壁のパネルや屋根、上枠は、それなりの重さと大きさがあります。
片手で支えながら、もう片方でビス穴を合わせる。この動きが、慣れていないと一人ではきつい。
だから2人いると安心、という話です。
「1人でいける」か「2人いる」かの線引きは、サイズだけでは決められません。
組み手によります。
日曜大工に慣れた方なら一人でも進みますし、初めての方なら小型でも2人いた方が安全です。
自分がどちらに近いか、で考えてみてください。
「これは自分でやめておいた方がいい」現場
サイズより先に見てほしいのが、設置場所の地面の状態です。
物置の大きさより、地面がどうなっているかで難しさが変わります。
自分でやるには手強いのは、こういう現場です。
- 地面が緩い場所 … ブロックが沈んで、水平が保ちにくい
- 急勾配の場所 … 高さを揃えるだけでひと仕事
- 砂利が敷いてある場所 … 安定させにくく、難度が高い
こうした地面では、一番大変な「整地とブロック設置」が、さらに難しくなります。
当てはまるなら、無理をせず業者に相談するのも十分ありな選択です。
もう一つ、細かいですが。
オプションで結露軽減材をつける場合は、破れやすいので取扱注意です。
扱いに気を使う部材なので、頭の隅に置いておいてください。
どのくらい時間がかかる?(あくまで体感の目安)
時間は気になりますよね。
ここは測ったデータではなく、体感の目安としてお読みください。
現場で2人で組んだ場合、2m角くらいの物置で、体感2時間程度です。
これはプロが2人でやったときの感覚なので、初めての方はもう少し見ておくと安心です。
そして、ネットでよく見る「大型でも同じくらい」というのは、実感とは違います。
3m角以上になると、目安で+1〜3時間ほど。
大きくなるほど部材も増えて重くなり、時間は伸びていきます。
大型を検討中なら、その分の余裕を持って予定を組んでください。
なお、自分で組めば業者の組立費(小型で1.4万円ほど、大型で3万円ほど)は浮きます。
ただ、これは一つの要素にすぎません。地面の状態や人手と合わせて考える話で、費用だけで決めるものではありません。
昔より楽になった? 機種によります
「最近の物置は組みやすくなった?」ともよく聞かれます。
これは機種によります、としか言えないのが正直なところです。
大型タイプで見ると、組み立ての手間が増えた機種もあれば、逆に組みやすくなった機種もあります。
年式や構造の変更で、工程が変わってきた感覚です。
どこのメーカーが良い悪い、という話ではありません。
同じメーカーでも機種で違うので、購入前にその機種の組み立て説明書に目を通しておくと、イメージがつかめます。
まとめ:判断のポイントは「地面」
物置を自分で組めるかどうか。判断の軸を並べます。
- 組み立てだけでなく、その前の整地とブロック設置がある
- 大型は脚立が要る。床材は先に張らなくてよい
- 扉の不具合は腕ではなく、ブロックの水平でほぼ決まる
- 人数は慣れ次第。初めてなら2人が安心
- 地面が緩い・急勾配・砂利なら、無理をせず業者相談も選択肢
- 時間は体感の目安で、2m角で2時間程度、3m角以上は+1〜3時間
自分の家の地面を思い浮かべて、「いけそう」か「これは手強い」か。
そこが最初の判断材料になります。
迷ったら、一度ご相談いただくこともできます。