大きさや色は真剣に選んでも、「扉がどちら側に開くか」まで見て買う人は、あまりいません。

でも、置いてから気づくことがあります。開けたい向きに開かない。壁が近すぎて、戸が引けない。

物置の扉は、機種の区分でほぼ決まっています。そして片側だけが動くタイプは、どちら側が開くかが標準で決まっています。

置き場所を決める前に、ここだけ押さえておくと後戻りせずに済みます。

扉の開き方は「大きさの区分」で分かれている

物置は、大きく「小型(収納庫タイプ)」と「中型・大型」の2つに分かれます。

呼び名はメーカーで違いますが、この区分はどのメーカーにもあります。そして扉の開き方は、この区分でだいたい決まります。

タクボのグランプレステージ・リジュー、イナバのシンプリー、ヨドコウのエスモなど。左右の扉が中央から両側に開きます。

タクボのMr.ストックマン・Mr.トールマン・BELOS、イナバのフォルタ、ヨドコウのエルモなど。片側だけが動いて開きます。

  • 小型(収納庫)… 両開き
  • 中型・大型 … 片開き(右側固定パネル)

例外もあります。タクボのペインタは小型ですが、右への連動引き戸で、開き方向は変えられません。宅配ボックスは前開き、como lite は側面に扉が付きます。この3つは区分から外れるので、個別に確認してください。

ここで大事なのは、開き方が「イナバだから」「タクボだから」で決まるわけではない、という点です。

決めているのは、小型か中型・大型か。同じメーカーでも、小型と中型・大型では扉の仕組みが違います。

中型・大型の「片開き(右側固定パネル)」とは

カタログの扉形式欄に「片開き(右側固定パネル)」と書いてあっても、初めてだと形が浮かびにくいと思います。

これは、右側のパネルは動かず固定されていて、左側の戸だけがスライドして開く、という意味です。

ここで一つ注意があります。この向きの呼び方は、統一されていません。

イナバ・タクボ・ヨドコウの公式サイトを見ても、「右開き」「左開き」という言葉は使われていません。書かれているのは「扉の開き方向」までで、右と左のどちらを指すかの定義は示されていません。販売店や現場では「右開き」「左開き」と呼ぶことがありますが、同じ言葉が逆の意味で使われることがあります。

なので、この記事では呼び名を使わずに書きます。どちらが固定で、どちら側が開くか。 業者に希望を伝えるときも、「右開きで」ではなく「正面から見て左側が開くように」と言うほうが、行き違いが起きません。

標準の向き右側が固定パネル。左の戸が右へ動いて、開くのは左側。カタログの「右側固定パネル」はこの向きのこと。
逆向き左側が固定パネル。開くのは右側。希望があるとき、扉の前に障害物があるときに、こちらにする。

※ 開けたあとの状態を、正面から見た模式図です。黒く塗った側が開口になります。実際の戸の枚数・重なり方は機種によって異なります。

つまり、間口(正面の横幅)いっぱいには開きません。右半分はふさがったまま、開くのは左側の戸の分だけです。

冬用タイヤや脚立、幅のある棚を出し入れするとき。この「開かない側がある」ことを頭に入れておくと、当日あわてずに済みます。

標準は「右が固定」。逆にするのはどんなときか

ここが、カタログを読んでも出てこない部分です。据える側の判断は、こうなっています。

(下の引用にある「右開き」は、右側が固定パネルで、開くのは左側という意味です)

どのメーカーも標準は右開き。施主の要望があったり、扉前に障害物があった時のみ左開きに変更

何も指定しなければ、右側が固定パネル、開くのは左側という向きで据わります。カタログの扉形式欄に「右側固定パネル」と書かれているのは、この標準の向きのことです。

逆向き(左側が固定、開くのは右側)にするのは、次のような場合です。

  • 住まい手から「こちら側に開けたい」という希望があるとき
  • 扉の前に、開いた戸がぶつかる障害物があるとき

「うちはどっちになるんだろう」と迷ったら、まず標準の向き(開くのは左側)を基準にしてみてください。

そのうえで、扉の前を見てみます。室外機、塀、植栽。開いた戸が当たりそうなものはないか。人はどちら側から出入りするか。

先にそこを見ておくと、開き方向の希望が固まります。

フォルタ・BELOS は、据えたあとでも開き方向を変えられる

開き方向は、多くのタイプで組む段階で決まります。

ただし、イナバのフォルタとタクボのBELOSは、組み立てた後でも開き方向を変えられます。

カタログや外形図から読み取れるのは、「組み立てるときに左右を選べる」ところまでです。

でも実際には、この2機種は据え付けが終わってからでも変更がききます。

「置いてみたら、思っていた向きと逆のほうが使いやすかった」。そんなときでも、この2機種なら後から直せる余地があります。組む前に決め切らなくてよい、ということです。

壁際に寄せて置くときに見ておくこと

壁や塀にぴったり寄せたい場合も、開く側・固定側の決め方は同じです。標準は右側が固定、住まい手の希望や扉前の障害物がある場合のみ逆向き、という考え方が当てはまります。

そのうえで、片開きは開くのが片側だけです。開く側の前に、人が立って開け閉めできるスペースがあるか。ここを先に確認しておくと、置いてから慌てずに済みます。

壁に寄せる面と、人が立つ面を分けて考えると、置き場所が決めやすくなります。

実際にどれくらい開くのか

もうひとつ、置き場所を決める前に知っておきたいのが、「思っているほど大きくは開かない」ことです。

各社の公式外形図や型番ページ、販売店の仕様表から拾える公開データを見ると、扉が実際に開く幅は、正面の間口に対しておおむね半分前後にとどまります。小型でも中型・大型でも、傾向はおおよそ共通しています。

これはあくまで公開されている数値からの目安です。ただ、「間口の分だけまるごと開く」とは考えないほうが、出し入れの計画は立てやすくなります。

大きな物を入れる予定があるなら、間口の数字ではなく、実際に開く幅で考えておく。そうすると、届いてから「入らない」を避けやすくなります。

まとめ

  • 扉の開き方は、メーカーではなく小型か中型・大型かの区分で決まる(小型=両開き/中型・大型=片開き)
  • 片開き(右側固定パネル)は右が固定、左の戸だけがスライドするので、間口いっぱいには開かない
  • 片開きの標準は「右が固定・左が開く」。逆にするのは、住まい手の希望や扉前の障害物があるときのみ
  • 「右開き」「左開き」という呼び方は統一されていない。希望は「どちら側が開くか」で伝える
  • フォルタ・BELOS は、据えたあとでも開き方向を変えられる
  • 実際に開く幅は、公開データの目安で間口の半分前後

置き場所を決める前に、どちら側に人が立つか、開いた戸がぶつかるものがないか。この2つを見ておくと、開き方向で迷わずに済みます。