置き場所の間口と奥行を測って、物置の外形寸法と見比べる。そこまでは数字で決まります。では物置の前に、何ミリ残しておけばいいのか。3社の公式サイトと取扱説明書を当たった結果を先に書くと、前方の寸法を数値で書いているメーカーは見当たりませんでした。
3社の公式に、前の寸法は出てこない
イナバの「お客様確認事項」には、こうあります。
基礎ブロックの高さや組立スペース、収納物の出し入れ等を考慮して、設置場所の間口・奥行・高さを正確に測ってから商品選定を行ってください
「収納物の出し入れ」には触れています。ただ、それが何ミリなのかは書かれていません。
ヨドコウの「安全に関するご注意」も同じ形です。
設置場所の幅、奥行、高さを正確に測ってください。母屋の出窓、物干、軒などの寸法さらに基礎ブロックを考慮して、設置スペースは十分に確認しましょう
挙がっているのは出窓・物干・軒・基礎ブロックで、前に残す寸法は出てきません。
イナバの取扱説明書にある「設置場所の制限」も当たりました。置いてはいけない場所が並んでいます。屋上やベランダ、避難経路をふさぐ場所、家からの雪や雨水が屋根に直接落ちてくる場所、給湯器の排気口付近。スペースについては「屋根の出幅・組立施工や転倒防止工事に必要なスペースが確保しにくい場所」という書き方で、やはり数値はありません。イナバとヨドコウのよくある質問も見ましたが、前方のスペースを扱った項目はありませんでした。
数字が出てくるのは、左右と後ろ、そして境界線
数値を書いているのはタクボのQ&Aです。ただし、前の話ではありません。
工具を持つ手が入るよう、左右及び後ろに10㎝以上
組み立てのための寸法で、アンカー工事を行う場合は20cm以上必要だと続きます。もう一つ、お隣との距離についてはこうあります。
民法では境界線から50㎝以上の距離を保つ
こちらは法律の話で、地域の慣習で異なる場合があるとも添えられています。
公式に数値がある「前後左右」は、左右と後ろ、それと境界線まで。前については3社とも数値を出していません。その理由も、どのメーカーのサイトにも説明が見当たりません。「物置 通路幅」で検索して物置の話が出てこないのは、探し方の問題ではなく、答えがどこにも書かれていないからです。
前を決めているのは、入口と中の差
では前に何ミリ必要かを、何から決めるか。手がかりは扉の形です。
当サイトが寸法を収録している物置676型番の扉は、引き戸(吊り戸式を含む)・3枚扉・シャッターのいずれかでした。手前に開く扉のものは見当たりません(前開き扉はイナバの宅配ボックスにありますが、物置としては数えていません)。扉が手前に開く分を見込むという考え方が、物置には当てはまらないわけです。扉がどちら側に開くかは据え付けのときに決まるので、向きもここでは関係しません。
前を決めているのは、扉ではなく入口の幅です。タクボの型番ページには、外形・開口部・内部の3つの寸法が別々に載っています。並べると差が見えます。
| 型番 | 外形の間口 | 開口部の間口 | 内部の間口 |
|---|---|---|---|
| グランプレステージ ジャンプ GP-115D | 1,120mm | 482.5mm | 1,065mm |
| グランプレステージ ジャンプ GP-197H | 1,879mm | 862mm | 1,824mm |
| Mr.ストックマン ダンディ ND-1815 | 1,832mm | 992mm | 1,776mm |
中は外形に近い広さがあるのに、入口はその半分前後しかありません。ND-1815なら、中の間口1,776mmに対して入口は992mmです。
ここで前のスペースが効いてきます。1,776mmの壁面が使えても、そこへ入れられるのは992mmの口を通るものだけ。992mmより長いものを入れるなら、物置の手前で向きを変えることになります。その向きを変える余地が、前に残しておく寸法です。
必要な寸法は、入れたいものの長さと入口の幅から決まります。入口の幅は型番ごとに公式に出ている数字なので、入れたいものが決まっているなら、そこは詰められます。
入口の数字の在りかは、メーカーで違う
その入口の数字がどこにあるかが、3社で揃っていません。
タクボは、型番ページに外形・開口部・内部の3つを並べています。ページを開けば、その場で3つとも読めます。
イナバは、外形図のPDFに「有効開口寸法」として入っています。フォルタのFS-1515Sでは795×1,770mm。外形の間口は1,530mmなので、入口は間口の半分強です。寸法表や商品ページではなく、型番ごとの外形図を開くことになります。
ヨドコウは、仕様図が型番ごとのPDFで配られているものの、中身が画像で、ページ上の文字からは寸法が読み取れません。エルモのLMD-1515の仕様図を開いても、文字としての寸法は入っていませんでした。図を目で見る前提の作りです。
同じことがサイズ表の高さの欄でも起きています。どの数字がどこに置かれているかは、メーカーごとに決まっています。
まとめ
前にどれだけ空けるかという問いに、公式の数値はありません。代わりに公式にあるのは、左右と後ろの10cm(組み立て)、境界線の50cm(民法)、そして型番ごとの入口の幅です。
扉は手前に出ないので、前に要るのは扉の分ではありません。入口を通らないものを回す分です。その寸法は、入れたいものの長さと入口の幅の2つで決まります。